梅酢ポリフェノール 「用途特許」を取得 和歌山・田辺市など 

 ■抗ウイルス作用あり医薬品など開発へ

 田辺市とJA紀南でつくる紀州田辺うめ振興協議会(会長、真砂充敏・田辺市長)は、梅干しを製造する過程で出る梅酢から抽出した「梅酢ポリフェノール」がインフルエンザウイルスなどの増殖を抑制し、不活化させる作用があることから、医薬品や食品、化粧品などに使用できる用途特許を市などが取得したと発表した。インフルエンザや風邪の予防用うがい液として梅酢ポリフェノール入り顆粒(かりゅう)剤が開発され、臨床試験が行われているという。

 和歌山大学食農総合研究所の三谷隆彦客員教授(食品科学専攻)と県立医大の小山一博士研究員(ウイルス学専攻)らが同市役所で発表した。

 ポリフェノールは野菜や果実に多く含有しており、細胞の活性化を助ける健康増進成分として近年注目され、研究が盛んに行われているが、三谷客員教授らは梅酢に含まれるポリフェノールに着目し平成17年から研究に取り組んできた。

 これまでの研究で、梅酢ポリフェノールが抗ウイルス作用やウイルスの不活化作用があることが判明。また、梅酢ポリフェノールは梅酢1キロから1グラムが抽出でき、その製法特許を25年に取得しており、同年に医薬品などを作ることができる用途特許を出願していた。

 昨年12月から顆粒剤を使って300人を対象に臨床試験が行われており、今秋にも結果がまとまる。これを受け同協議会は、将来的にうがい用顆粒剤やサプリメントなどの商品開発を目指したいとしている。三谷客員教授は「推定で年間1万6千トンが作られるという梅酢の利用促進にもつながり、採算性や安全性にも問題はない」と話している。

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