千円を超える高級目薬が続々と、登場している。医薬品メーカーが、目のトラブルに効く成分にこだわった新製品の開発に力を入れているためだ。日常生活でスマートフォンやパソコンなどの電子機器を使う機会は多く、「疲れ目」を気にする人は増加傾向。各社は効能を高め、特定の症状や年齢層にターゲットを絞った製品などを増やし、消費者の購買欲を引き出している。(阿部佐知子)
最高価格を更新
ロート製薬が昨年11月、に発売した「Vロートプレミアム」は目薬の中で同社として最高価格になる1500円(希望小売価格、15ミリリットル)。それまで最高価格だった「ロートV11」(13ミリリットル)より、容量を増やしたうえ、200円高く設定した。
スマホやパソコン操作がほぼ毎日続くことで、疲れ目が回復しない「蓄積疲労」の緩和に重点を置いたのが特徴。目の周りの筋肉の疲れ、目の乾きを伴う涙、ブルーライトや紫外線による炎症を和らげる成分をふんだんに入れ、有効成分は12種類に及ぶ。
さし心地→効能
「目薬へのニーズが変わってきたのは、2000年代前半」と話すのは、同社商品企画部の角田康之PM1グループマネージャー。
同社では、昭和62年に発売した「Zi」(ジー)が大ヒット。強い清涼感が若い世代に受け入れられ、それ以降、「すっきり感」「気持ちよさ」などさし心地が注目される時代が続いていた。それが、いまは効能を重視する方向に傾いている。オフィスや家庭での携帯端末機器の普及が背景にあるとみられ、値段が多少高くても、買いたいとのニーズは強く、目薬の高価格化と高機能化をもたらしている。