北朝鮮の金正男氏暗殺事件は、犯行グループを組織した国家犯罪としての態様が、日ごとに明らかになっている。
猛毒のVXが使われたことも判明した。化学兵器禁止条約の対象である神経剤の使用は、国家テロの証左ともいえよう。入手経路を追及し、凶行の全容解明につなげることが重要である。
一義的には、北朝鮮の妨害を受けながら捜査活動を展開するマレーシア警察当局に、大きな期待がかかる状況に変わりない。
その活動を日本や周辺諸国が強く支援したい。とくに東南アジア諸国連合(ASEAN)の動向はカギを握るものとなろう。
マレーシアの警察当局は、すでに在マレーシア北朝鮮大使館の2等書記官らを重要参考人に挙げ、北朝鮮国籍の男1人を逮捕した。平壌に逃げたとみられる4人の男の身柄引き渡しも求めている。
北朝鮮は捜査への妨害、批判を繰り返し、北朝鮮が暗殺に関与したとの見方について韓国の「陰謀」だと非難している。
こうした主張に対し、ナジブ首相が「無礼」と不快感を表明したのはもっともである。
クアラルンプールの空港で、VXを使い、正男氏を襲撃した実行犯の2人の女は、インドネシア国籍とベトナム国籍だった。