日産自動車を18年にわたって率いてきたカルロス・ゴーン社長が退任し、グループ統括に専念することになった。
経営が悪化した異国の名門企業に乗り込み、世界市場で活躍するグローバル企業として再生させた功績は大きい。
「必達目標」(コミットメント)を掲げ、社内外に説明しながら経営改革を進める。その手法は「ゴーン流経営」と呼ばれた。一方、系列企業との取引など長年のなれ合いを排し、大胆なリストラを断行する姿は「コストカッター」と恐れられ、多くの軋轢(あつれき)も生んだ。
それでも仏ルノーという外資出身の経営者が日本で評価されるのは、改革を自ら主導して確かな実績を残してきたからだ。成長を目指す日本企業が学び取るべき点は今でも多いだろう。
4月1日付で社長兼最高経営責任者(CEO)を退き会長に専念し、後任に共同CEOの西川広人氏が就く。ゴーン氏は日産・ルノー連合などグループ全体の提携戦略の強化などにあたるという。
過剰債務に苦しんでいた当時の日産が、ルノーに救済を要請し、海外経験の豊かなゴーン氏が派遣された。村山工場(東京)などの閉鎖や系列取引の見直しでV字回復を果たした。バブル崩壊に伴う経営難に陥っていた大手企業の再生モデルに値するものだった。