田村秀男のお金は知っている

中国の「対北朝鮮制裁」にだまされるな! 対中圧力、金融抜け穴封じこそが鍵

 中国はもともと口先だけは制裁に同調しながら、国連安保理常任理事国の立場をテコに、制裁決議を骨抜きにしてきた。北の輸出による収入の用途が核やミサイル開発など軍事ではなく、民生向けであれば、制裁対象にはならないというただし書きだ。カネに色はないのだから、中国が支払うカネが民生に限定されるはずはないのだが、中国はそれを盾に石炭輸入を増やしてきた。

 16年9月の5回目の核実験後の国連制裁強化についても、中国側は抵抗してきたが、11月末になってようやく、北からの石炭輸入を年間750万トン(16年の石炭輸入は2250万トン)以下に抑える案に同意し、それに従う形で石炭輸入禁止に応じた。

 こうした北京側の態度変化は対中強硬派が要職を占めるトランプ政権の発足と無関係ではない。

 オバマ前政権は平壌(ピョンヤン)を非難しても、北京には無言だった。15年12月には北朝鮮のダミーのシンガポールの海運会社が中国銀行の口座を利用して、武器を密輸する北朝鮮の貨物船の運航資金を送金していた事件が明らかになった。

 しかし、米政府は中国銀行のドル取引制限などで制裁しようとしなかった。他にも制裁破りに加担する中国の銀行は多いのだが、おとがめなしだから、中国企業は銀行の支援を受けて対北輸出を増やせる。

 日本としては、中国の「石炭輸入禁止」にだまされず、トランプ政権と連携し、金融の抜け穴封じに向け、対中圧力をしっかりとかけるべきなのだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)