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「米中すでに貿易戦争の状態」政権で存在感増す対中国強硬ブレーン、ピーター・ナバロ氏の揺るがぬ姿勢

 ただしトランプ氏は中国への強硬姿勢一辺倒でいるわけではない。選挙戦で示した「就任初日」に中国を為替操作国と認定するとの公約は実行を見送り、その後の演説や記者会見でも中国を名指しした批判は控えている。9日には習近平国家主席との電話会談も行っており、中国との関係改善を目指す動きもみせている。

 またナバロ氏と並ぶトランプ氏の経済ブレーンと位置づけられる国家経済会議(NEC)委員長のゲーリー・コーン氏(56)は、中国ビジネスも広く手がける投資銀行大手ゴールドマン・サックス社長を務めてきた人物だ。米紙ウォールストリート・ジャーナルは11日、トランプ政権下でのコーン氏の存在の大きさを指摘し、ナバロ氏はワシントンでの経験が欠けているという弱みがあると分析している。

 ただし中国との貿易戦争を公言し、トランプ氏が高く評価してきたナバロ氏がホワイトハウスの中枢にいることの意味は無視できない。トランプ氏は中国との直接対決は避けながらも、通商関係見直しに向けた戦略を練っているともいえそうだ。

(ワシントン 小雲規生)

■ピーター・ナバロ氏■ カリフォルニア大学アーヴァイン校教授。1949年生まれ、ハーバード大で博士号。以前から米メディアに執筆・寄稿し、中国批判を繰り返してきた。投資に関する執筆も多い。