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「米中すでに貿易戦争の状態」政権で存在感増す対中国強硬ブレーン、ピーター・ナバロ氏の揺るがぬ姿勢

 こうしたナバロ氏の主張は11年の著書「デス・バイ・チャイナ(中国がもたらす死)」で詳しく説明されている。

 ナバロ氏が貿易赤字削減に強くこだわるのは、国家にとって製造業を維持することは経済面でも安全保障面でも重大な意義があるとの信念があるからだ。ナバロ氏は製造業はサービス業に比べて雇用創出効果が大きく、賃金も高いと指摘。また製造業の繁栄は技術開発の促進にもつながるため、長期的な経済力の維持にも有効だともしている。

 一方でナバロ氏は、中国が不正な補助金を中国企業に出すだけでなく、為替操作で人民元安誘導を行うことで、自国の製造業の輸出価格を低く抑え、米国の製造業の市場を奪ってきたと強調。また環境や労働に関する規制の緩さや知的財産の盗用の常態化といった中国国内の実態も中国に有利な状況を後押ししていると糾弾している。

 ナバロ氏が米政府に求めてきたのは中国との対決を恐れない姿勢だ。「早急に中国に対して、人民元安を是正しなければ適切な対抗措置をとることを伝えるべきだ」と主張し、中国が応じなければ「財務省が中国を為替操作国と指定し、米国の製造業を保護するための対抗措置をとることは当然だ」と断言する。