金正男氏殺害で北朝鮮のやらせを暴く記録映画「太陽の下で」が好評 上映館が劇場規模拡大

 ところがこれらはすべてやらせだった。北朝鮮当局が用意したシナリオ通りに、北朝鮮の監督が演出したものだ。ありのままの北朝鮮を撮りたかったビタリー・マンスキー監督は、当局の指示通りにカメラを回したが、撮影の目的を真実を暴くことに切りかえ、録画スイッチを入れたままの撮影カメラで隠し撮りを敢行した。

 来日したマンスキー監督は「撮影時も一つ一つの条件や要求を受け入れざるを得ない状態だった。こんな不自由が待ち構えているなんて想像だにしなかった」と厳しい表情で語る。北朝鮮政府から撮影許可を得るまで2年、平壌の一般家庭の密着撮影に1年を要した。「監視されながらシナリオ通りに撮影をしたので、撮影済みのフィルムは大丈夫だと思ったら、毎回提出していくつかのカットはうまくないと廃棄処分にされた」。未検閲のフィルムをどうやって国外に持ち出したかについては「詳細を言ってしまうと犠牲者が出るから」と明かさなかった。

 映画には児童たちが「愛国教育」を受ける場面もある。ジンミちゃんが「日本人は私たち人民を痛めつけた、わが国を占領した悪者です」と発言すると、女性教師は「その通りです」と満面の笑みを浮かべる。

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