台湾「2・28事件」から70年 社会の対立いまも 「真相究明、民主化の力に」

 関係者の証言も犠牲者の遺族ばかりで、加害者の証言はない。武力鎮圧をした主力部隊が、国共内戦で中国大陸に戻ったこともその理由の一つとされるが、それだけではなさそうだ。蔡英文総統は23日、遺族と面会した際、「真相を太陽の下にさらし、被害者だけがいて加害者がいない現状を変える」と強調した。

「抵抗の意味持つ」

 一方で、真相解明の動きを民主化の観点から前向きに捉える見方も出てきた。

 「30年前の運動は事件の教訓を学び、和解と共生を目指したものだ」。18日、南部・台南市での式典でこう振り返ったのは葉菊蘭・元総統府秘書長(68)。戒厳令時代から「言論の自由」と「台湾独立」を求めて運動し、89年に抗議の焼身自殺を遂げた鄭南榕氏の妻だ。30年前の87年、鄭氏らが台南で行った街頭デモは、事件の真相解明と犠牲者の名誉回復を求める台湾で初めての活動となった。

 政治大学台湾文学研究所の陳芳明講座教授(69)は、事件の真相解明運動と民主化運動は「密接不可分だ」と指摘する。陳氏は80年代以降、事件に関する著書や論文を発表し、発禁処分も受けた。陳氏は「歴史に向き合わない民主は偽物だ。2・28の陰影から抜け出すことが、民主の追求につながった」と当時の執筆動機を語った。