正論

自ら首絞めた北の正男氏暗殺 中国と関係悪化、国際的孤立が深化した 東京基督教大学教授・西岡力

 この拙速さの背景について論じよう。2011年12月、金正日が死亡したとき、その葬儀の日に合わせて私たちは東京で「金正日による犠牲者に思いを寄せる集会」を開いた。金正日によって犠牲になった多くの人々を悼むべきだという趣旨だった。そこで北朝鮮軍人出身の金聖●・自由北朝鮮放送代表はこう語った。「金正日が築き上げた個人独裁システムは強固だから、金正恩政権はすぐに崩壊することはない。しかし、20代の若造が全てのことを決裁する独裁者の地位に就いたのだから、必ずミスをする。そのミスをいかにうまく利用するかが、拉致被害者救出運動の鍵を握るだろう」

 まさにその通りのことが今回起きた。このテロの結果、中国との関係悪化や、国際的孤立が深化し、金正恩政権は大きなダメージを受けるだろう。それを賢く利用して拉致問題解決に結びつけるために皆で知恵を絞るべきときだ。(東京基督教大学教授・西岡力 にしおかつとむ)

●=王へんに文

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