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韓国で開催された国際スポーツ大会から、久々に不思議な「風の便り」が届いた。12日まで韓国で行われていたスピードスケートの世界距離別選手権は1年後の平昌(ピョンチャン)冬季五輪会場となる新設された江陵(カンヌン)のリンクで行われたが、低地にもかかわらず自己新記録を出す選手が続出。良質な氷に加えて関係者が口をそろえたのが「追い風」だった。
風が吹いている
練習や競技を終えた選手の多くが口にした「風が吹いている」。
リンクの天井には双眼鏡を大きくしたような装置がレーンに沿ってぐるりと30機ほど滑走方向に向いており、日本の関係者は「間違いなく送風機だ」と断言。日本チームのスタッフが風向計で測ると毎秒0・8〜1・0メートルほどの風が実際吹いていたという。
秒速10〜15メートルで滑る選手にとっては小さくない数値で、この手の「疑惑」を普段あまり伝えない通信社も含め、各メディアが一斉に報道。共同電は男子5000メートルで世界記録まで約3秒に迫ったスベン・クラマー(オランダ)の「全員に平等なら問題ないが、風がないに越したことはない」というコメントを紹介している。
追い風はいいけれど
この設備に関して、主催者は会場内の気温調整のための空調としているが、それにしては送風が一方方向に揃い過ぎているキライがある。
江陵のリンクは1988年冬季五輪が開催されたカナダ・カルガリーの製氷担当者を招いて氷が仕上げられた。カルガリーは高速リンクとして有名で、スピードスケート男女計10種目のうち7種目が当時の世界新で決着。ただ、氷が良質というだけでなく、標高が1千メートルを越え、空気抵抗が小さかったことも大きい要因だった。