特許庁がモノのインターネット(IoT)に関する特許情報を各国で共有できるデータベースの整備に乗り出すことが分かった。週内にスイスのジュネーブで欧米、中国、韓国の特許庁などと整備に向けた協議を始め、2019年1月にも稼働する。権利化されたIoTの海外技術を出願者が調べる時間やコストを削減し、日本企業の国際進出を後押しする。
これまで、海外全体の特許情報を閲覧する仕組みはあったが、IoT技術に絞ったデータベースはなく、企業は調査に膨大な時間をかけていた。IoT産業の世界市場の広がりを受けて、日本の特許庁が米欧中韓の特許庁やロシアなど189カ国が加盟する世界知的所有権機関(WIPO)に呼びかけ、協議が実現。世界の大半を網羅するデータベースの構築を目指す。
新設するIoT産業のデータベースでは、出願してから1年半たった技術と、特許取得後の権利化された技術の内容を国ごとに無料閲覧できる。また、日本からは、特許庁のホームページ(HP)を通して、家庭や企業のパソコンなどからデータベースの確認が可能になる。
製造業、通信など業種ごとに分けて検索でき、海外での特許出願を目指す企業が、重複する技術が権利化されていないかどうかなどを調べられる。特許情報は日本や欧米などからリアルタイムで蓄積される。
日本の特許庁は昨年11月、世界に先駆けて国内のIoT関連の特許情報を収集できるデータベースの運用を開始した。今月21日(現地時間)にジュネーブで開催される会合では、5大特許庁(日米中欧韓)やWIPOの幹部が参加。日本は、国内システムのノウハウを生かしたデータベースの整備を各国に提案する。