東日本大震災6年

福島産のモモ輸出、原発事故前上回る 地道な発信結実 県産品の信頼回復に…

 だが、復活を信じて上を向こうと、すぐに気持ちを切り替えた。「これ以上ひどくなることはない。後は上がるだけだ」。地道な努力が実り、事故の翌年からは放射性物質がほとんど検出されなくなった。

 それでも、安全性には特に気を使った。放射性物質が果物に付かないようにするため、収穫の際、カゴの下にビニールシートを敷いた。木の根元に放射性物質に有効とされる肥料をまいたこともある。

 放射性物質の濃度検査は今も続けられている。「消費者に安全だと思ってもらえるのなら、続けた方がいい」。手間はかかるが、仕方がないと受け入れる。大手百貨店から「福島産がほしい」と声を掛けてもらえるようになった。

 だが、震災前からの輸出先だった香港と台湾は現在も県産の桃の輸入規制を続けており、風評の払拭(ふっしょく)には時間がかかると感じる。

 「農家は愛情を込めて、質の良いものを作るのが仕事。そうすれば少しずつでも受け入れてもらえるし、信頼回復にもつながる。自分のできることをしっかりやるだけです」

 今は枝の剪定(せんてい)作業の真っ最中。「今年もおいしい桃ができますように…」。ハサミを握る手に力がこもった。

(福島支局 野田佑介、写真も)

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