主張

北とテロ対策 緊張欠く審議を憂慮する

 北朝鮮は、金正恩朝鮮労働党委員長の兄、金正男氏をマレーシアで殺害した。国際社会の反発を無視して核兵器やミサイルの開発も続けている。歯止めのきかない独裁体制の暴発を、強く懸念する。これに対して国内のテロ対策は、あまりに緊張感を欠いている。

 19日には、札幌市で冬季アジア大会が開幕する。来春には韓国で平昌冬季五輪があり、2020年には東京五輪が開催される。北朝鮮には、過去にも国際スポーツ大会をテロの標的としてきた歴史がある。

 1986年9月、ソウルアジア大会の開幕直前には金浦空港が爆破され、5人が死亡した。ソウル五輪前年の87年11月にはインド洋上空で大韓航空機が爆破され、乗員乗客115人全員が死亡した。いずれも目的は、大会開催の阻止だった。

 大韓機爆破の実行犯、金賢姫元死刑囚らは日本人になりすまし、日本の旅券を所持していた。拉致被害者の田口八重子さんが金元死刑囚の日本語教育係を強いられたことも分かっている。拉致事件も国家によるテロだ。

 「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐる国会審議が遅々として進まない。法改正は、国連が国際社会でテロと対峙(たいじ)するために採択した「国際組織犯罪防止条約」批准の条件として求められたものだ。すでに180カ国以上が締結している。

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