日曜講座 少子高齢時代

増える高齢者の東京流入 公的な生活支援で歯止めを 論説委員・河合雅司 

21年連続での転入超過

 東京の人口が増えている。東京都は「2020年の1336万人」としてきた都の人口のピークの見通しを、2025年の1398万人と改めた。23区に限れば2030年がピークだ。

 湾岸エリアを中心にタワーマンションなどの建設が進んで都心回帰の動きが広がっており、都心部の区では出生率の高まりもみられる。

 総務省の2016年人口移動報告でも、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の転入超過は11万7868人を数え、東京一極集中の流れに歯止めがかからない実態が明らかになった。超過は21年連続である。

 一方で大阪圏と名古屋圏は4年連続の転出超過であった。大都市を抱える大阪府や愛知県を含めた全国から人が集まっているのだ。好条件の働き口を求め押し寄せてくるためだろう。

 東京圏はこれまで地方の若者を吸い上げることで街としての「若さ」を保ってきた。だが、こうした若者の流入がどこまで続くかは疑問である。総務省の人口移動報告を詳しく分析すると、変化の兆しが見える。

 転入超過数が前年に比べ1489人少なくなったのだ。増加幅が縮小したのは5年ぶりのことである。

 少子化に伴って若者の絶対数が減ったことが要因だという。吸い上げようにも、地方に若者がいなくなってきているということだ。

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