同紙は、防犯カメラの記録映像から、逃走した男たちが襲撃後、飛行機に搭乗するため出発ゲートに向かう前、トイレで着替えをしていたとも伝えた。他にも捜査を陽動するための策略が周到に練られていた可能性が高い。
北朝鮮側が強く求め、同国大使がマレーシア政府非難の声明まで出した正男氏の遺体の引き渡しについては、警察側が「親族による身元確認が先決だ」と繰り返している。息子など正男氏の家族は、マカオなどで中国の保護下にあるとされるが、今後、DNAサンプルと付き合わせるなど「マレーシアの法律に従ったプロセス」を貫くとし、北朝鮮に一定の「条件」を突きつけた形だ。
主犯格らの拘束に失敗したいま、マレーシア警察にとり、正男氏の遺体は「証拠」であるとともに、北朝鮮に対抗する貴重な「カード」でもある。遺体の扱いが今後の焦点となる。(シンガポール 吉村英輝)