これまで政府は、ネット社会の拡大を受け、著作物を取り巻く環境の変化に応じた著作物利用の「柔軟」(文化庁)なルールの策定を検討してきた。
平成27年には文化庁が民間から著作物利用に関する要望を募集。寄せられた意見のうち、キーワードから書籍名やテレビ番組名を探す全文検索サービス、論文で記述の盗用がないかをチェックする検出サービスなどが実現可能と判断した。
中でも書籍の全文検索サービスは、閲覧できる部分を検索ワードの前後数行にとどめネタバレを防ぐことで、書籍の売り上げが減るなど悪影響を防ぐことができるとし、文化庁は「本来の(著作権者による)ビジネスを害さずにサービスを提供することは可能」と話している。
作家らが加盟する「日本文芸家協会」の長尾玲子・著作権管理部長は、俳句など記述の短い著作物への対応など課題が残っていることを指摘した上で、「著作権者が不利益を被らないような、しっかりとしたルールが盛り込まれた制度にしてほしい」と話した。