著作物の教材使用、世界標準は課金制 許諾の手間省き補償金導入 欧米はネットも紙も

 教育現場でインターネットを活用した授業の導入が進む中、ネットを通じて書籍や写真、新聞記事などの著作物を教材として使用するケースについて、文化庁は著作権者への許諾を不要とし、代わりに学校側が補償金を支払うとする新ルールを定める方針だ。海外では教育目的でも著作物使用の対価を支払うのが一般的で、国内でも課金制度を取り入れたい考えだ。

 文化庁によると、補償金制度を盛り込んだ著作権法改正案は、早ければ今通常国会に提出。現行法では、学校の授業で著作物を印刷し紙の状態で配布する場合は許諾不要だが、電子データ化した著作物を生徒が使うタブレット端末にメール送信などするには許諾が必要としている。

 教育の社会的意義からネット送信でも許諾不要とする一方、著作物の市場への影響も懸念されることから補償金制度を導入する。具体的な金額は今後詰めるが、紙で配布する場合は従来通り無償とする。

 文化庁が平成26年度に海外の状況を調べたところ、英国は年間に作品全体の単語数の5%以内、米国は2500語以上の長文は「1000語以内」か「全体の10%以内」のうち少ない方にとどめるなど条件を満たせば無償だが、それ以外は対価を支払う。一方、フランスやドイツは無条件で一定の対価の支払いを求めている。各国とも紙で配布した場合も同じ対応としている。

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