【クアラルンプール=吉村英輝】金正男(キム・ジョンナム)氏殺害への関与が疑われ、指名手配された男は、クアラルンプールの高層マンションの一室でマレーシア警察に取り押さえられた。事件後も国外に逃亡せず首都の住宅街にとどまっていた形で、近隣住民からは驚きと困惑の声が上がった。
「北朝鮮の工作員がこんなところにいたなんて…」
リ・ジョンチョル容疑者の身柄が拘束されたマンションの住民は、17日午後10時ごろに警察車両が敷地内に入ってきて、大勢の警官が4階のあたりに向かったのを目撃したという。「怒鳴り声などは聞こえなかった」といい、翌朝に事態を知ってショックを受けた。
現場はクアラルンプールのクチャイ・マジュ地区。中国系労働者が多く、再開発で高層マンションが林立している。リ容疑者が取り押さえられた建物は築約10年で住民の約8割は中国系だが、最近は韓国人なども増えてきたという。近くのスーパーには韓国語表記のコメや酒、即席めんなどが山積みされていた。