【ソウル=名村隆寛】日中との関係悪化など外交問題を抱える韓国に、北朝鮮の新型弾道ミサイル発射と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(ジョンナム)氏の暗殺といった北朝鮮問題が立て続けにのしかかっている。
米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に反発を続ける中国。釜山(プサン)の日本総領事館前に違法に設置された慰安婦像の問題で駐韓日本大使が帰国して1カ月以上たち、対日関係も改善していない。
1月に発足したトランプ米政権とは、今月初旬に訪韓したマティス国防長官と同盟強化を確認するなどし、どうにか関係を維持している。ただ、メディアの論調には出遅れへの懸念が目立ち、韓国政府は尻をたたかれている格好だ。
ここに来て弾道ミサイル発射、金正男氏暗殺といった北朝鮮をめぐる不安要素が重なった。
韓国の外交懸案は「許容範囲を超えている」(ソウルの外交筋)との見方さえある。朴槿恵(パク・クネ)大統領の権限停止で国政が停滞していることが、韓国外交にさらに足かせとなっている状態だ。