【ボン(ドイツ西部)=宮下日出男】北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は15日、ブリュッセルで開かれた国防相理事会後の記者会見で、トランプ米政権の発足で先行きが懸念された米欧同盟の重要について、全加盟国が一致したことを明らかにした。米側の要求を受け、各国の国防支出増大に向けた議論を加速する方針も示した。
NATOは各国の国防支出の目標を国内総生産(GDP)比2%とするが、達成しているのは米英など5カ国にとどまる。ストルテンベルグ氏はこれに対し、各国ごとの計画策定なども含め国防支出増大に向けた着実な取り組みのあり方を検討する考えを示し、「今日は議論の始まりだ」と強調した。
欧米メディアによると、マティス米国防長官は理事会で「米国の納税者はもはや不釣り合いな負担を担えない」などと発言。米国がNATOへの関与を縮小する可能性にも言及して各国に国防支出増大を強く要請。年内に一定の成果を出すことも求めた。
15日の理事会では、中東やリビアで活動するイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)への対応のため、イタリア・ナポリの司令部に要員100人による情報収集拠点を設けることを決定した。