浪速風

現代の「マクベス」か 金正男氏毒殺

マカオ市内で産経新聞記者のインタビューに答える金正男氏 =2007年3月18日(清水満撮影)
マカオ市内で産経新聞記者のインタビューに答える金正男氏 =2007年3月18日(清水満撮影)

なぜか憎めないのは、あの事件のせいだろう。金正男氏である。平成13(2001)年5月、偽造旅券で不法入国しようとして成田空港で拘束された。北朝鮮の「将軍様」の長男とわかって色めき立ったが、来日の理由が「東京ディズニーランドに行きたかった」にガクッときた。

▶異母弟の金正恩氏には目障りな存在だったようだ。世襲を批判し、中国政府の庇護(ひご)下にあったとされることから、いつか権力を奪われると疑心暗鬼に陥ったのだろうか。次々に側近を粛清して、ついに兄まで。シェークスピアの「マクベス」を想起する。王を殺したマクベスは「もう眠りはない。眠りを殺した」という幻聴を聞く。

▶中世に逆戻りしたような異様な国である。if(もしも)を思う。不法入国した正男氏を、拉致問題などの交渉のカードに、という声もあったが、厄介払いするようにあっさり国外退去させた。対応が違っていたら、その後の歴史も変わっていたのではないか。

▼【関連ニュース】金正男氏殺害のワケ…「建国の祖父金日成に愛された兄は潜在的脅威。コンプレックス…」