金正男氏殺害

中国メディア、不快感示し北に釈明要求 「正恩氏の暗殺」と誤記も 中国外務省は論評避ける 

 【北京=西見由章】北朝鮮の金正男氏が殺害されたとみられる事件に関して、中国外務省の耿爽報道官は15日の記者会見で、「現在マレーシア側が調査を進めている。われわれは事態の進展を注意深く見守っている」と述べるにとどめ、具体的な論評を避けた。一方、一部の中国メディアは不快感を示し、北朝鮮側に釈明を求めた。

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は15日付で、「単仁平」のペンネームを持つ胡錫進編集長が論評を執筆した。

 「マレーシア当局が金正男氏の暗殺を正式に確認すれば、国際世論は必ずこうした行為を厳しく非難するだろう」と指摘し、「中国の世論もこうした行為は唾棄するにちがいない」と強調した。

 さらに「どのような政治闘争であれ、暗殺行為はあってはならない。そうした野蛮な古いやり方は歴史の博物館に収めるべきだ」と主張し、北朝鮮当局は世界に向けて釈明すべきだとの考えを示した。

 なお論評は「金正男氏の暗殺」とすべきところを「金正恩氏の暗殺」と誤記していた。意図的なものか単純ミスなのかは不明だ。いずれにせよ中国側が一時事実上の庇護(ひご)下に置いていた「親中派」の金正男氏が殺害されたことへの不満がにじむ文章だ。

 ただ15日付の官製メディアの中で事件について明確な立場を示したのは環球時報だけで、事件に全く触れていないメディアも少なくなかった。

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