川越「根っこの家」、田中さんが終身名誉館長に

 集団就職者らの居場所として親しまれてきた一般財団法人「根っこの家・若い根っこの会」の本部(川越市元町)で12日、本部館長を56年務めた田中伊都子さん(79)が常駐から退き、終身名誉館長に就任することを祝うパーティーが開かれた。会員やその家族約160人が駆けつけ、田中さんとの久々の再会に涙する人もみられた。

 同施設は昭和36年の設立以来56年間、24時間体制で悩み相談を受け、国際学習の船旅「洋上大学」などのイベントを開催してきた。初期は高度経済成長期に集団就職で上京した若者の駆け込み寺の役割を果たした。田中さんは本部で訪問者を迎え入れ続け、昭和60年には労働大臣賞を受賞。15日で80歳になるのを前に、常駐から退いた。

 パーティーでは参加者全員が田中さんに感謝の言葉を述べ、握手を交わした。京都府から来た衣川輝夫さん(74)は「ここに来て館長さんに『お帰りなさい』と言われると、つらさも吹っ飛んでいった」と涙を浮かべて振り返った。

 10年前の財政危機で全財産を貸与するなど尽力した田中さんは「最初は訪問者の方言に苦労したり、突然夜に初めての人が来て怖かったりした。無我夢中でこの場所を守らないといけないという思いでやってきた。今後もできる限り協力したい」と笑顔を見せた。

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