日米の差
氷川さんは「君の名は。」を「究極の恋愛物語。エンタメの王道を行きつつ、若者に新鮮な世界観と希望を与えた」と高く評価。しかし、「お国柄によって受け止め方に差が出ている可能性はある」とする。
「日本の観客は主人公たちの感情を重視して違和感なく見るが、欧米の理詰めの見方だと、なぜ瀧が三葉を好きになったか? なぜ大災害が周期的に起きるのか? について、説明不足に感じるようだ」
また、米国では、アニメが産業・芸術として確立しており、伝統や整合性を重視する傾向がある。氷川さんは「日本のアニメは、常に先人が作っていないものに挑んできた。なかなか両者は合致しないのかもしれない」と分析する。(文化部 岡本耕治)
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「君の名は。」 昨年8月に公開。興行収入は「もののけ姫」「ハウルの動く城」を抜き、日本映画歴代2位(洋画を含めると4位。首位は「千と千尋の神隠し」)。千年ぶりに彗星(すいせい)が地球に近づく中、地方に暮らす女子高生と東京の男子高校生の体が入れ替わる不思議な体験をするファンタジー作品。
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キネマ旬報ベスト・テン 1919年創刊の歴史ある映画雑誌「キネマ旬報」が、毎年選定している。第1回は25年に、前年度の外国映画のみを対象に発表された。26年度からは日本映画も対象となり、現在では邦画、洋画、文化映画の3部門で実施。ベスト・テン以外にも監督賞や主演男女優賞などの個人賞、読者賞などを選出している。