日米首脳会談

米国をアジア太平洋国家に位置付け トランプ氏、日本厚遇でオバマ外交と違い

 【ワシントン=加納宏幸】トランプ米大統領は安倍晋三首相との日米首脳会談で、米国を引き続きアジア太平洋地域の一員として位置付けた。日米同盟を軸にしてアジア関与を強めることが明確になった。

 トランプ氏は10日の会談後の共同記者会見で「日米両国が協力することで大きな調和、安定、繁栄を太平洋地域にもたらすことができる」と述べた。

 今回の首脳会談に関して米紙ウォールストリート・ジャーナルは「トランプ氏は地域の同盟国を重視することを示して不安を解消するため、首相の訪米を活用しようとしている」と評した。米国第一主義を掲げるトランプ氏が孤立主義的な政策を取るとの懸念が広がっていたが、オバマ前大統領が提唱した「太平洋国家」の道を歩む決意を示したといえる。

 一方、就任直後に日本の首相をフロリダ州の別荘に迎える厚遇は、オバマ氏と対照をなす。オバマ氏は2013年6月、就任後3カ月の中国の習近平国家主席を中国発のサイバー攻撃の渦中にも関わらずカリフォルニア州の保養地サニーランズに招き、中国を重視する姿勢を印象づけた。

 首相がトランプ氏とともに大統領専用機「エアフォースワン」で別荘に向かう姿は、06年、当時の小泉純一郎首相とブッシュ大統領が専用機でテネシー州メンフィスにあるエルビス・プレスリーの旧宅を訪れた時の親密さを思わせる。

 日米両首脳が共同声明で「アジア太平洋地域における貿易、経済成長及び高い基準の促進」を明記したことは、首相のいう「国有企業による国家資本を背景とした経済介入」「知的財産へのフリーライド(ただ乗り)」をする中国に対する牽制(けんせい)材料になる。

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