同会事務局は「著作権法では演奏権について『公衆に聞かせる目的で』と限定している。教室内での練習や指導は当てはまらない」と説明。「テキストやレッスン用CDの作成、生徒の演奏会については著作権使用料を支払ってきた」とした上で「演奏権の解釈をめぐって歩み寄れなければ、『債務不存在』を確認する民事訴訟や、文化庁長官によるJASRACへの行政指導を求めたい」と話す。
著作権料の分配を受ける作曲・作詞家側からも疑問の声が上がっている。アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」の作詞を手がけた及川眠子(ねこ)さんは、ツイッターで「音楽教室で『練習のために』弾いたり歌ったりするものから、使用料をもらいたいと思ったことなどない」と発信。歌手の宇多田ヒカルさんもツイッターで「もし学校の授業で私の曲を使いたいっていう先生や生徒がいたら、著作権料なんか気にしないで」とつぶやいた。
著作権に詳しい立教大の砂川浩慶教授(メディア論)の話「音楽教室で日常的に行われているレッスンは練習であり、公衆に聞かせることが目的とは言い切れない。生徒の多くは子供で、JASRACにとっては将来、音楽を使うユーザー。受講料に大きな影響を与えるほどの著作権使用料がレッスン料に上乗せされれば、子供たちを音楽から遠ざける懸念さえある。音楽文化の振興という共通の立ち位置から、知恵を絞って協議すべきだ」