ボストン在住の内科医、大西睦子さんは「トランプ大統領には、仕事を求めて支持した人が多い。だが、その中にも『オバマケアは大切』という人もいる。大統領選の熱狂が去り、オバマケアがなくなると気付いて急に心配になった人も多いと思う」と、解説する。
トランプ大統領の就任翌日には、大規模な女性によるデモ「女性大行進」が行われたが、これにもオバマケア廃止への抗議の意味があったという。「妊婦健診が保険で提供される率は、オバマケアができる前は約12%だったが、今は100%。避妊や乳がん検診、性感染症のチェックなどの女性医療が、オバマケアでは手厚い。廃止されれば、女性の健康も損なわれることへの抗議が、行進の発端だった」という。
新制度の内容は不透明。大西さんは「トランプ大統領は選出後のインタビューで『良い点は残したい』と言っていたが、保険制度は全体の一部だけ残すのは難しい。低所得の人が保険を失い、格差が広がるのは間違いない」と懸念している。