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日本の薬価改革に飛び火? トランプ大統領が主張「薬の開発費、公平に負担を」

 みずほ銀行産業調査部の戸塚隆行調査役は「発言には、国内世論を味方につける意味もある」と指摘する。「米国では製薬会社が大規模化、寡占化し、自由市場で薬剤費をつり上げる動きが目立つ。日本と違って実際に薬代を払えない人も出ており、国民の反発が強い」

 一方で、米国も自国産業の育成は必須の課題。「製薬会社はグローバル化しており、世界の市場で開発費を回収する。だが、日本の公的保険下では薬の価格は下がっていく。薬価の高い米国で主に開発費を回収する構造は不公平だという主張。今後、日本の薬価引き下げに風当たりが強まる可能性はある」(戸塚調査役)

 高額な薬剤が続々と登場するなか、日本、米国、欧州の先進各国は医療費捻出に頭を痛める。だが、日本の薬価が、指摘されるように本当に「安い」のかには、疑問の声も出る。ある医療関係者は「製薬会社には結構、魅力ある市場のはず」ともらす。人口規模も少なくない。高齢化で医療需要は増す。皆保険制度で取りこぼしなく患者に薬を使う。一方で米国では薬が実際にいくらで流通しているのか、はっきりしない。

 厚労省は薬の価格決定について、「市場の流通は基本的に公平公正で同じ原則が適用されるべきだ。適正な市場の評価と流通と技術革新の評価をすることが基本原則で、従来も、今後もそういう制度運営をしていく」とする。力業でない冷静な対応が求められる。

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