高速標的機は訓練を終えたらパラシュートを開いて海上に着水する。それを回収するのも訓練支援艦の仕事だが、何キロも先まで航行して探すことになり、特に複数機を飛ばした場合は手間がかかるという。
船体の大きさは、くろべが基準排水量2200トン、全長101メートル、幅16・5メートル。てんりゅうは少しだけ大きくて基準排水量2450トン、長さ106メートル、幅16・5メートルだ。
太平洋などの訓練海域まで往復すると何日もかかるので、艦内には寝室や食堂、風呂といった居住区画が備わっており、「乗り心地は悪くない」(元くろべ乗組員)という。
最高速度はくろべの20ノットに対しててんりゅうは22ノット。乗員数はくろべの約155人に対し、てんりゅうは省力化が進んで約140人に減っている。
2隻はあくまで訓練用なので、有事に前線へ出ることはまずない。しかし、いずれも速射砲1門を備えている。海上自衛隊関係者によると、高速標的機が何らかの理由でコントロールを失った場合に撃墜するための装備だという。
その高速標的機には、いずれも無線誘導の「高速標的機BQM-34AJ改」(ファイアー・ビー)と「高速無人標的機チャカBQM-74E」(チャカ3)の2種類がある。
このうち「炎」や「蜂」を連想させる勇ましいあだ名のファイアー・ビーは平成4年から活躍。機体は炎のように明るいオレンジ色で、テレビの特撮番組に出てきそうな形状をし、全長7メートル、幅4メートル、高さ2・05メートルと大きめだ。重さは1・219トンもある。