東京電力福島第1原発事故の影響で避難した子供たちが、転校先でいじめを受ける問題が相次いで表面化している。
「放射能がうつる」など、いわれなき悪口で傷つける。被災者の痛みを知らぬ卑劣な行いだ。その責を子供だけに問うことはできない。
根拠なく原発事故の影響を不安がり、風評をあおるような大人の行動に、根っこがあることを認識すべきである。
昨年、福島県から横浜市に避難した生徒がいじめに苦しんだ手記を公表した。最近も千葉県に避難した高校1年の女子生徒がいじめに遭ったことを告白した。
女子生徒は小学5年のとき、転校先の同級生から「おまえには放射能がついている」「汚いからこっちに来るな」などと言われた。家族には「心配をかけられない」と黙っていたという。
打ち明けたのは、横浜など各地で原発避難に伴ういじめが報じられ、「同じようないじめに遭う子が減ってくれれば」との願いからだ。女子生徒の場合、「ばかにするな」と言い返すと、その後は言われなくなった。
相手に自分の気持ちを伝えることが必要だと、勇気を持って話してくれたことに頭が下がる。