主張

一極集中の是正 地方高齢者への支援急げ

 安倍晋三政権が旗を振る東京一極集中の是正に成果がみられない。

 総務省の人口移動報告によれば、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)は21年連続で転入超過となった。大阪圏と名古屋圏は4年連続の転出超過だった。

 より条件の良い働き口を求め、人々が集まってくるためだろう。東京五輪に向けて、こうした流れはさらに強まるとみられる。

 地元に残りたくても、思うような仕事が見つからない。進学や就職を機に若者が転居するのはやむを得ない。

 一極集中への歯止めには、大学などで身に付けた知識を活用できる仕事の創出が不可欠だ。地方創生も、そこにもっと重点を置いた取り組みを急ぐべきである。

 転入超過だった東京圏でも、その人数は5年ぶりに減少した。少子化で若者の絶対数が減ったことが要因だという。代わって、今後増えるとみられるのが地方で1人暮らしをしてきた高齢者だ。

 要介護状態になくとも、通院や買い物などの日常生活が困難だという人は多い。こうした高齢者が東京圏に住む子供などを頼って同居や近居を選ぶケースはすでに目立っている。

 東京圏の高齢化がさらに進めば、病院や福祉施設の不足がさらに深刻化する。

 こうした高齢者は、少しのサポートがあれば、住み慣れた地域で暮らし続けられる。地方高齢者の生活支援の強化を求めたい。

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