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夫婦仲が悪くなるなどして別居や離婚をせざるを得なくなったとき、子供の幸せや利益はどうしたら守られるのか-。別居中の40代の夫妻が長女(9)=妻と同居中=の親権を争った訴訟で、1月26日、東京高裁で控訴審判決が言い渡された。この訴訟では、1審の千葉家裁松戸支部が従来とは異なる判断枠組みを示し、夫側を勝訴としたことで注目されていた。しかし、東京高裁は従来の判断基準を尊重し、妻を勝訴とする逆転判決を言い渡した。離婚が珍しいことではなくなり、親権争いの増加も見込まれる日本で、一つのモデルケースとなったこの訴訟を通じ、親権決定の在り方を検証する。(社会部 小野田雄一)
揺らぐ従来枠組み
判決後、妻側は「1審判決は従来の枠組みを否定した誤った判決だった」と指摘。夫側は「従来枠組みは子供の連れ去りを助長するものだ。高裁判決は現実に起きている問題を見ていない」と批判した。この訴訟は夫側が上告し、最高裁で争われる見通しだ。
ただ、政治の世界では夫側の問題意識に沿った立法も計画されている上、国境をまたぐ子供の連れ去りを禁じた「ハーグ条約」への加盟などで、従来枠組みの妥当性が揺らいでいるのも事実だ。
判決によると、夫妻は平成18年に結婚し、翌年長女が生まれた。しかし長女の養育方針などをめぐって不仲となり、けんかをするようになった。22年、妻が夫の不在時に長女を連れて自宅を出た。当初、妻は夫に長女と面会させていたが、面会方法などをめぐって対立し、同年9月以降、面会は実現していない。その後、妻は夫が持つ長女の親権を渡すよう夫を提訴。夫は長女を引き渡すよう妻を反訴していた。