「多くを語らず行動で示す人」登校見守りボランティア事故死 悲しみ広がる

「多くを語らず行動で示す人」登校見守りボランティア事故死 悲しみ広がる
「多くを語らず行動で示す人」登校見守りボランティア事故死 悲しみ広がる
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 島根県益田市久々茂(くくも)町の国道191号交差点で、集団登校で横断歩道を渡っていた小学生の列に酒気帯び運転の軽トラックが突っ込み、登校見守りボランティアの三原董充(ただみつ)さん(73)がはねられ、小学3年の男児が軽傷を負った事故。犠牲になった三原さんはまな娘の交通事故死を胸に秘め、子供たちに寄り添い続けてきた人だけに、地域には無念がいっそう募っている。

付き添いの背景にまな娘の事故死

 三原さんが見守ってきた子供たちの通う市立豊川小学校。事故があった1月30日には臨時の集会を開き、全身を強く打ち重傷だった三原さんの回復をみんなで祈った。しかし、翌31日早朝に亡くなった知らせを受け、再び集会を開いた山崎周治校長は、三原さんがいつも「子供たちが地域の宝だ」と言っていたことを児童に伝えた。

 三原さんが登校見守りボランティアを始める背景にあったのは昭和58年12月、当時7歳で小学2年生だった次女の舞子さんを亡くした下校中の交通事故だ。孫の通学をきっかけに、約15年前から児童たちの集団登校に付き添っていた。

 「(次女の事故)以前から『この通学路は危ないから対策が必要』と行政に訴えていた。無念でならなかったんでしょう」と長女の摩弓さん(42)が話した。

 島根県警によると、今回の事故が起きた交差点について、平成20年に自治会連合会から信号設置の要望を受けた際、検討の結果、設置を見送った。交通量や利用者数などを総合的に判断した結果とみられる。同国道を管理する県益田県土整備事務所も、同所の対策の必要性について、現時点では管内での優先度は高くないとみている。

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