判断要素の一つが「創作性」
著作権をめぐっては、さまざまな分野で紛争に発展してきた。
歌詞が問題となったのは、歌手の槙原敬之さんが作詞・作曲した「約束の場所」。「夢は時間を裏切らない 時間も夢を決して裏切らない」という歌詞が、漫画「銀河鉄道999」の「時間は夢を裏切らない、夢も時間を裏切ってはならない」というセリフの無断使用に当たると原作者の松本零士さんが指摘したことから、槙原さんが名誉を傷つけられたとして、松本さんに損害賠償などを求める訴えを起こした。
東京地裁は「盗用の事実は認められない」と松本さんの名誉棄損(きそん)を認め、平成21年に知財高裁で和解が成立した。
著作権訴訟で判断要素の一つとなるのが「創作性」の有無だ。
休廃刊した雑誌の最終号の表紙や告知文などを集めた5年発行の書籍について、出版社10社が「著作権を侵害された」として発行差し止めなどを求めた訴訟。7年の東京地裁判決は、告知文の一部は「執筆者の個性がそれなりに反映された表現」で、創作性を備えた著作物だと認定し、書籍への掲載は著作権侵害に当たるとして、差し止めと損害賠償を命じた。
スクール情報誌「ケイコとマナブ」を発行するリクルートが、著作権を侵害されたとして別の情報誌の発行差し止めなどを求めた訴訟では、レイアウトの類似性などが争われた。16年の東京地裁判決は「索引や分類上のマークは編集著作物に当たらない」として著作権侵害を認めず、請求を棄却した。
携帯電話向け釣りゲームをまねされたとして、サイト運営会社が競合サイト運営会社に損害賠償などを求めた訴訟でも、魚を釣り上げる画面などの類似性が争点に。東京地裁が「表現上の創作性」を認めたのに対し、24年の知財高裁判決は「ありふれた表現で、著作権を侵害しない」と結論づけたケースもあった。