高齢者の買い物を地域で支援 福岡市が車貸与し住民ボランティア送迎

スーパーで買い物を終え、ボランティアが運転する送迎車両に乗り込む高齢者
スーパーで買い物を終え、ボランティアが運転する送迎車両に乗り込む高齢者

 福岡市は1日、東区の香住丘校区で、高齢者の買い物を支援するモデル事業を始めた。地域住民でつくる協議会に、市が車両を貸し出し、ボランティアが運用する。今後1年かけて効果を検証する。高齢化が進む地域の課題を、地域ぐるみで解決する新たな手法であり、市は、他の地域にも広げたいとしている。 

(九州総局 高瀬真由子)

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 きっかけは住民の声だった。「買い物に行くのが困難な高齢者が増えている。ボランティアで解決できないか」。元町内会長の吉田愛博氏(75)はそう考え、校区の自治協議会会長、中山利明氏(77)に相談した。

 賛同の輪は広がった。自治協や社会福祉協議会などが中心となり、市と議論を重ねた。

 10人乗りの車両を、市が月10万円で業者から借り、住民側に無償貸与する。自動車保険も市が負担する。住民側は、この車両を使って、高齢者を校区内のスーパーに送迎する。運転手や付き添いとして、約15人のボランティアが集まった。

 事前に希望した67人の高齢者を利用対象とした。毎週月、水、金の午前と午後に運行する。ボランティアは荷物の持ち運びも手伝う。

 この日の出発式で、中山氏は「本番と同じ運行を試験的に2週間実施した。安全を第一に、自信を持ってスタートしたい」と語った。出席した高島宗一郎市長は「地域を自分たちで支えるすばらしい取り組み。日ごろの地域活動がベースにあることで、第1号として実施できた」と語った。

 利用した後藤富美子さん(83)はこれまで、バスでスーパーに通っていた。「荷物を抱えて歩くのはつらかった。ダイコンやリンゴなど、重たいものをたくさん買えた」と喜んだ。

 福岡市は若者が集まる都市として有名だが、高齢化率は20・7%(平成28年9月末)に達している。中高年の転入者も多く、今後到来する超高齢社会への対策が課題となっている。

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