浪速風

「忘れられる権利」はあっていい

誰にだって消してしまいたい過去がある。犯罪歴などはその最たるものだろう。インターネットの検索サイトで表示される逮捕歴に関する記事の削除を、最高裁は認めなかった。「検索事業者の表現の自由と比較して、プライバシーが優越することが明らかな場合に限り、削除を求めることができる」

▶注目されたのは、ネット時代で「忘れられる権利」が世界的に論議を呼んでいるからだ。フランスの女性が過去のヌード写真の消去を請求したのが発端で、欧州連合(EU)では「消去権」として明文化されている。わが国では下級審の判断が分かれていた。

▶「表現の自由」や「知る権利」を重んじたのは評価できるとしても、最高裁はもっと明確な基準を示すべきではなかったか。犯罪歴なら更生も配慮して、どのような罪なら、いつまで、と。ネット社会では情報が瞬時に広範囲に拡散する。個人であらがおうにも蟷螂(とうろう)の斧(おの)である。「忘れられる権利」はあっていい。