2千億円損失「リスク想定、組織甘く 外部チェックも入らず」阿倍野再開発で大阪市が検証報告

2千億円損失「リスク想定、組織甘く 外部チェックも入らず」阿倍野再開発で大阪市が検証報告
2千億円損失「リスク想定、組織甘く 外部チェックも入らず」阿倍野再開発で大阪市が検証報告
その他の写真を見る (1/3枚)

 大阪市は2日、JR天王寺駅の南西側(阿倍野区)で約40年にわたり実施してきた「阿倍野再開発事業」を総括する検証報告書を公表した。関西で最大規模となる同事業の収支不足(赤字)は約1961億円となり、赤字を埋めるための市民負担は平成44(2032)年度まで続くことが判明。報告書は、着手段階でのリスク想定や組織体制の甘さ、社会情勢の変化への対応が遅れたことで巨額損失を招いたと指摘している。

 検証作業は、再開発事業が29年度に完了するのを前に吉村洋文市長が指示。外部有識者の意見を取り入れて報告書をまとめた。吉村市長は2日の会見で「この事業による借金が現在の予算編成に響いている。見通しが甘かった」と述べた。

 市は昭和51年、交通の要所でありながら古い家屋や店舗が密集していた阿倍野地区(約28ヘクタール)の防災力や都市機能を強化するため再開発に着手した。事業ではマンションや商業施設など建物29棟や道路を整備。ただ、事業費約2220億円の計画に対し、総事業費は4810億円に膨らんだ。

 検証結果などによると、計画そのものや、約3100人の地権者からの土地買収をめぐって一部の地域から強い反対運動が起きた。合意を得られた地域から順次開発を始めたが、担当職員を大幅増員する時期も遅れ、最終的に全地域の事業計画が決まったのは着手から21年後にずれ込んだ。

 この結果、市はバブル経済で地価がピークだった時期に用地買収を進めることになり、バブル崩壊後に多額の含み損と負債を抱えるようになった。中でも再開発の中核である大型商業施設をめぐって損失が膨らんだ。商業施設は当時、賃貸による事業運営が主流となりつつあったのに、市は百貨店を中心とした分譲に固執し、2度にわたり企業との折衝が破談になった。