菅義偉官房長官は31日午前の記者会見で、トランプ米政権より環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱を通知する書簡が、日本を含む参加11カ国に送られてきたことを明らかにした。これで、米国側の離脱手続きは完了した。
菅氏は「30日に米国通商代表部(USTR)から、TPPの締約国となる意思がない旨の通知があった」と明かした。その上で「トランプ氏も自由で公正な貿易の重要性については認識している。TPPの戦略的、経済的意義について腰を据えて理解を求めていきたい」と重ねて述べた。「自由で公正な共通ルールに基づく自由貿易体制こそが世界経済成長の源泉だ」とも強調した。
ただ、トランプ大統領は2国間の通商交渉を目指しており、2月10日の日米首脳会談で、安倍晋三首相は2国間協定締結を求められる情勢となっている。
TPPに変わる日米2国間協定の協議が行われれば、トランプ氏が「不公平」だと批判するわが国の自動車市場などが協議の焦点となる見通しだ。TPP参加国の間で米国抜きの新たな多国間協定締結を目指す動きもあるが、菅氏が語るように、安倍政権はあくまで、米国参加のTPPを目指す考えだ。