からだのレシピ

「呼吸筋体操」で心と体リフレッシュ

【からだのレシピ】「呼吸筋体操」で心と体リフレッシュ
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 ■肺機能改善し不安感軽減に効果

 呼吸法を工夫した独自の体操を通し、東日本大震災で被災した子供たちの不安を和らげるなど心のケアを行ってきたNPO法人が、高齢者を対象に体操による肺機能の改善や不安感の軽減などについて調査、研究を進めている。体操を継続することで肺活量の向上などの効果があったといい、今後さらに体操の普及を目指していく。

 このNPO法人は、東京有明医療大学の本間生夫・副学長が理事長を務める「安らぎ呼吸プロジェクト」。同法人は、東日本大震災の発生後、被災した子供たちを対象に小学校などで、本間理事長の考案した「呼吸筋ストレッチ体操」と、この体操をベースに音楽や歌詞を合わせた「ラッタッタ呼吸体操」の普及活動を進めてきた。

 体操は、肩や首、胸のストレッチなどを組み合わせて、呼吸のリズムと体の動作をゆっくりと調和させる内容で、所要時間は3分程度。手順を紹介するDVDも作成され、体験者から「体操で不安が和らいだ」などの声が寄せられた。

 本間理事長によると、呼吸のリズムには、脳の複数の部位が関係しており、うち一つが、不安などの感情を生み出す扁桃(へんとう)体と呼ばれる部位。こうしたことから、「呼吸を整えることで、不安を和らげ、心に安らぎをもたらすことができる」(本間理事長)といい、その発想から「呼吸筋ストレッチ体操」が生まれた。

 これらの体操を、介護予防や健康寿命を延ばすことにも役立てようと始めたのが今回の高齢者の調査で、京都市の社会福祉法人「市原寮」(花友じゅらくだい)の協力のもと、通所介護施設に通う平均年齢80歳の男女10人を対象に、昨年5月から約半年間にわたって実施。毎週1回体操をしてもらい、肺機能の計測や聞き取りによる調査を行った。その結果、肺活量の向上や、息を吐くときに肺に残ってしまう空気の量が少なくなるなど肺機能改善の効果がみられた。また、気分や不安についての聞き取りの調査でも、体操をする前より改善する傾向が見られた。

 一方、体操とは別に、文化的な創造活動と心の関係についても調査。施設に通う12人に継続的に生け花に取り組んでもらい、心身にどのような影響があるかも調べたところ、「気分が向上する」「幸福感が増す」などの効果があることが分かった。

 本間理事長らは今回得られたデータを詳細に分析し、論文にまとめる予定。成果を基に、今後は職場や医療現場などにも体操の普及を進めていく方針だ。

 本間理事長は「被災した子供たちや高齢者をはじめ、体操を多くの人に知ってもらうことで、一人でも多くの人が心身ともに元気に暮らせるようサポートしていきたい」と話している。

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