千葉県鴨川市の水族館「鴨川シーワールド」は、北海道で捕獲されたゼニガタアザラシの幼獣1頭を搬入し、同館の別のアザラシやアシカとともに今月から一般公開を始めた。
同館などによると、ゼニガタアザラシは北海道南部に位置するえりも町南端部の襟裳岬などに分布するアザラシ。乱獲などによりかつては個体数が減少したが、現在は増加傾向にあり、同町の海域でサケを食い荒らすなど漁業に深刻な被害を及ぼすことが懸念され、昨年3月、環境省が同種と地域社会の共存を図るため「えりも地域ゼニガタアザラシ特定希少鳥獣管理計画」を策定。被害軽減に向けた同種の捕獲などの取り組みが進められている。
同館に仲間入りしたのは、計画に基づいて昨年9月に捕獲された雄の幼獣。生後9カ月程度とみられ、体長約95センチ、体重約38キロ。健康状態や行動に問題はなく、食事も飼育員の手から食べているという。
計画に基づいた同種の搬入は同館では初といい、同館は「他のゼニガタアザラシとも仲良くしている。まだ小さくてかわいいが、将来的には繁殖計画に貢献してくれることを期待している」と話した。