風俗店の業態の変化も影響を及ぼした疑いがあると指摘する。
「近年はセックスワーカーをあっせんする業者(デリヘル)が増加している。店舗型の業者に比べて感染症の検査を徹底できていない面もあるのではないか」(同医師)
感染する恐れがあるのはプロの女性ばかりではない。
「昔は、若い女性は同世代と性交渉をしていたが、最近はインターネットなどを介して年齢の離れた男性と関係を持つ人もいる。年上男性が実は梅毒に感染していて、女性にうつしてしまうケースがある」
男女ともに、症状の「1期」はしこりなどができるものの感染に気付きにくく、未治療でいるケースが多い。その間、不特定多数と性交渉を持てば、感染者は増加の一途をたどることになる。
医師は「去年の春先頃から、女性患者が非常に増えている。以前なら多くても1カ月に1人程度だったが、いまは診療すると月に2〜3人はみつかる」と危機感を持つ。体に発疹ができる「2期」で感染の疑いを持ち、来院するのがほとんどという。
梅毒と聞けば、菌が脳を侵したり、鼻がもげるといったイメージを持つ読者も多いだろう。「そうした症状は『3期』に入るが、そこまで重篤な患者はいまの日本ではほとんど見ない」と医師。とはいえ、恐ろしい病気には間違いない。