メルケル独首相とオランド仏大統領との電話会談では、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対する米軍駐留経費の負担増をいきなり要求している。やはりトランプ氏は安倍首相に格段の配慮をしたとみるべきだろう。
「日米が蜜月であることを内外に示すことが重要だ」。安倍首相が語ると、トランプ氏はこう応じた。
「いち早くマッド・ドッグ(狂犬)を日本に派遣するのでよろしく。これは非常に意味がある。彼のことを信頼しているのでいろいろと話をしてほしい」
マッド・ドッグとは、来月3、4両日に訪日するマティス国防長官のこと。就任後2週間で国防長官が訪日するのは極めて珍しい。トランプ氏は自分がいかに日米同盟を重視しているかを示したかったのだろう。同時に「安全保障に関してはマティス氏に全面的に責任を持たせる」という意味合いを込めたとみられる。
トランプ氏はマティス氏訪日にもう一つメッセージを込めた。東・南シナ海で覇権拡大を目指す中国に対する牽制だ。
両首脳は電話会談で中国を名指しこそしなかったが、「安全保障だけでなく、貿易不均衡など経済問題でも中国に対して日米の絆を崩さない」という意思を確認できたのは大きな成果だといえる。