入門・日米戦争どっちが悪い(9)

押し付けられた日本国憲法 GHQの社会主義者が9日間で作る

サンドイッチをかじりながら徹夜したメンバーは、12日までのわずか9日間で英文のマッカーサー草案を作りました。

B29を飛ばして受け入れ迫る

翌13日、ホイットニー、ケーディス、陸軍中佐マイロ・ラウエル、海軍中佐アルフレッド・ハッシーは東京・麻布市兵衛町の外相官邸に吉田茂を訪ねました。国務大臣の松本と吉田の側近の終戦連絡事務局参与、白洲次郎が同席しました。

サンルームで太陽を背に腰かけたホイットニーらは吉田らにマッカーサー草案を手渡すと席を外し、庭に出ました。そのときB29爆撃機が超低空で近付き、轟音をあげて通り過ぎました。白洲が外に出るとホイットニーはこう言いました。「われわれは戸外で原子力の起こす暖を楽しんでいるのです」

まだ広島、長崎への原爆投下の記憶が生々しいとき、「原子力」を口にするのは威嚇以外の何物でもありません。このB29は事前に指示されて外相官邸の上空を飛んだのです。吉田らを脅すための仕掛けです。

サンルームに戻ったホイットニーは次のように言いました。

「あなた方がご存じかどうか分かりませんが、最高司令官(マッカーサー)は、天皇を戦犯として取り調べるべきだという他国からの圧力、この圧力は次第に強くなりつつありますが、このような圧力から天皇を守ろうという決意を固く保持しています」「しかし皆さん、最高司令官といえども、万能ではありません。けれども最高司令官は、この新しい憲法の諸規定が受け入れられるならば、実際問題としては、天皇は安泰になると考えています」

受け入れなければ昭和天皇の身柄は保障しないと脅したのです。外相官邸跡地には現在、「日本国憲法草案審議の地」という碑が建っていますが、「審議」などというものではなく、恫喝による押し付けでした。

政府はマッカーサー草案を若干修正して政府案を作りましたが、GHQの圧力で元に戻されました。帝国議会での審議もGHQの統制下に置かれ、ポツダム宣言の言う「日本国国民ノ自由ニ表明セル意思」などありませんでした。

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