稀代(きだい)の英ロックスター、デヴィッド・ボウイが69歳で亡くなり、今月10日で1年がたちました。
そんな彼の約半世紀にわたる歩みを振り返る大回顧展「DAVID BOWIE is」が彼の誕生日である8日から4月9日まで東京で開催されています。
http://davidbowieis.jp/
1967年にデビューして以来、映画や演劇、ファッションといった分野でも高い才能を発揮。性差の壁を超越し、東洋と西洋の美の融和に挑むなど、時代を先取りした美的感覚でロック音楽の世界に新たな扉を開きました。
そんな彼の初主演映画が英のSF作品「地球に落ちて来た男」(1976年、ニコラス・ローグ監督)です。いまも一部の愛好家が熱狂的に評価するカルト映画のひとつで知られます。
砂漠化が進み、荒れ地と化した母星を救うため、宇宙船で地球にやってきた異星人トーマス(ボウイ)。
米ニューメキシコ州の砂漠に降り立った彼は、弁理士のオリバー(バック・ヘンリー)や大学教授のネイサン(リップ・トーン)に接触。地球人では考えつかない9つの特許を元に事業を興し、巨大企業に育て上げます。
ところが、ひょんなことから正体がばれてしまったため、新たに作った宇宙船に乗り込み母星へ帰ろうとしますが、謎の一団が彼を拉致・監禁し、人体実験を繰り返します…。
監督は作品にSF感を盛ろうと、あえて説明的な描写を避けています。そのうえ時間軸がバラバラなまま物語が前後左右に進むため、見る者を混乱させます。カルト作品と呼ばれるゆえんです。