台湾の国連残留、最後まで尽力 中国の抱き込み工作も記録 ニクソン・ショックに揺れた佐藤栄作政権 楠田實・元首席秘書官の資料まとまる

 当時の外務省調査部企画課が作成した「極秘 無期限」の資料からも米中接近に、強い警戒心を抱いていたことがうかがえる。

 「中共(中国共産党)の要求に米国がどこまで対抗し『旧友を犠牲にしない』との立場を完全に守り得るか」「中共側にとっては日本の世論の分断や日米離間策の推進が一層有利になった」

 台湾の国連残留に最後まで尽力した佐藤政権に対し、日本国内では「バスに乗り遅れるな」の大合唱が政財官界を飲み込んだ。自民党親中国派からも日増しに圧力が強まった。同年9月に作成された取扱注意文書では「(中国が)招待外交等により日本の一部指導層を抱き込み、中共の主張を支持する勢力の拡大を図る」と分断工作があったことが記録されている。

 中国が国連の多数派工作で利用したのがアルバニアだった。アルバニアなどは同年7月、中国の代表権回復と台湾追放を求める決議案を提出。これに対抗する形で米国などは中台双方に議席を与える「二重代表制決議案」と、台湾追放は3分の2以上の多数決で決定する「追放反対重要問題決議案」を提出した。これには中国に安全保障理事会常任理事国の席を与えることも含まれていた。

 10月25日の国連総会審議で、追放反対重要問題決議案は否決され、アルバニア決議案が賛成多数で採択された。台湾の代表はアルバニア決議案の表決に先立ち、総会議場から退場、国連から脱退した。

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