韓国の裁判所でまた国際常識と法治を疑わせる判決がでた。
長崎県対馬市の観音寺から盗まれた仏像について、韓国・大田地裁は同国の浮石寺へ引き渡すよう、保管している韓国政府に命じた。
「数百年前、倭寇に略奪された」という浮石寺の請求を認めた。地裁は「過去に略奪や盗難など正常でない形で対馬に渡ったものとみられる」との判断も示したが、それも推測にすぎない。
法と証拠に基づくまっとうな司法判断とは、とても言えまい。
仏像は長崎県指定有形文化財の「観世音菩薩坐像」で、5年前に盗まれた。翌年、韓国の警察に韓国人窃盗団が摘発され、対馬市の海神神社から盗まれた仏像とともに回収された。
ユネスコ(国連教育科学文化機関)の文化財不法輸出入等禁止条約に従えば、盗難文化財が見つかった場合、加盟国は持ち主の国に返還しなければならない。
日本政府が再三返還を求め、海神神社の像が2年前にようやく返還された経緯がある。
韓国側が返還に応じないのは、朝鮮半島由来の文化財について、「日本に略奪されたものだから返す必要がない」といった根拠のない理由で、返還を拒む国内の運動があるからだ。