産経抄

譲位めぐる民進党幹部らの物言いが、どうにも気になる 1月28日

 天皇陛下の譲位をめぐる議論が主要テーマとなった26日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相が戒めた語句が耳に残った。「それはまさに、玉座(ぎょくざ)を胸壁となすことにつながっていく」。立法府たる国会の場で、陛下のお言葉を引用することには、慎重でなければならないとの指摘である。

 ▼胸壁とは、胸の高さに築いた矢防ぎの壁やとりでを意味する。大正2年に、後に憲政の神様と呼ばれる尾崎行雄が、桂太郎内閣をこう糾弾したことが有名だ。「彼らは玉座をもって胸壁となし、詔勅をもって弾丸に代えて政敵を倒さんとするもの」。

 ▼自分たちこそ天皇の意を体していると、天皇の権威を利用してかさにかかる態度を批判したものである。明治憲法下でも、こうした「玉座の蔭(かげ)に隠れて政敵を狙撃するがごとき挙動」(尾崎)はよろしくないとされてきた。

 ▼譲位をめぐる民進党幹部らの物言いが、どうにも気になる。彼らは陛下のお言葉を引用して「十分忖度(そんたく)」(野田佳彦幹事長)、「しっかり忖度」(細野豪志代表代行)などと強調する。他者の心を推し量る「忖度」という言葉を多用し、政府はそれをしていないと攻撃する。

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