「帝国の慰安婦」問題

「韓国は歴史への『恐怖心』克服を」 小倉紀蔵京都大教授

小倉紀蔵京都大教授
小倉紀蔵京都大教授

 無罪は至極当然の結論で、判決内容も朴教授側の主張が全面的に認められたといえる。もし有罪が認められていれば、韓国による民主主義の「自己破壊」を迎えるところだった。

 判決が認定したとおり、朴氏の著書は元慰安婦個人の誹謗中傷を行っていない。慰安婦問題についての日本側の主張に迎合しているわけでもない。日本による統治が複雑で巧妙な構造を有していたことを、慰安婦という題材を通して学術的に示したものだ。

 それを韓国側が「支配者」と「被支配者」という単純な二項対立のストーリーに仕立てる理由は、支配された側として歴史を直視することに韓国人が恐怖心を抱えているためだ。検察による在宅起訴には、慰安婦問題を聖域とし、国論から外れた意見を一切認めないという韓国社会が如実に表れている。

 しかし、こうした姿勢は韓国人が戦後長い時間をかけ、血を流して築き上げた今日の民主化と完全に逆行する。今回の問題の経過には、日韓関係の改善に向け努力を続けてきた多くの知韓派の日本人も呆れかえっていることを知るべきだ。

 今後も引き続き、元慰安婦を利用する勢力によりネガティブキャンペーンが行われるのは想像に難くない。しかし「最終的かつ不可逆的な」結論を見た慰安婦合意まで覆されるようなことがあれば、日本では「嫌韓」を超えて無関心が広がってしまう。決して韓国のためにはならず、韓国メディア、世論の冷静な判断を求めたい。

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