防衛最前線(106)

国防を陰で支える冬の主役 雪上車「大雪」やモーターグレーダーは今まさに大車輪の活躍

 このため同飛行場には、平成28年4月の時点で、雪を吹き飛ばす放雪車やかき分けるモーターグレーダーを始めとして除雪車両計36台を配備。小松飛行場(石川県)や三沢飛行場(青森県)といった北国の他の飛行場でも同様だ。

 小松飛行場での除雪経験がある空幕関係者は「飛行場は24時間離着陸できるように維持することが前提。雪で滑走路が閉鎖されてはならない」と、除雪の重要性を強調する。

 毎年冬になると各部署から人が集められて「除雪隊」が結成され、輪番で24時間雪に備える。一番大切なのは緊急発進(スクランブル)の体制確保にあり、除雪の際は滑走路と誘導路、そしてスクランブルをかける戦闘機の待機所の3カ所を最優先する。

 ここで難しいのは除雪実施の判断だ。先の空幕関係者は「除雪後に雪が薄く残ったまま凍ってしまうと、飛行機がスリップしやすくなったり、タイヤの跡が固まって路面状況が悪くなり、下手したら離着陸できなくなる」と話す。そのため、雪が降ったらすぐに除雪するのではなく、例えば日射で溶けそうな場合は放っておくこともあるという。

 かつて欧州制覇を目指した皇帝ナポレオン・ボナパルトは、ロシアの寒波に進撃を止められた。時と場合により、雪は戦闘部隊にとって本来の敵以上に厄介な存在となりうる。この時期、各地から届く雪の便りを聞いたとき、たまには現地で格闘している自衛隊員らの苦労に思いをはせても良いだろう。(政治部 小野晋史)

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